モーシン・アリ・カーン プロフィール

1985年生まれ。

ウスタッド・アブドゥール・カリム・カーン(※2)、ウスタッド・バハラ・ワヒード・カーン、パドムシュリ、ウスタッド・シャコール・カーン、ウスタッド・アブドゥール・ガニ・カーンなど歴史的に傑出した演奏家を多く生み出したキラナ流派(※1)に属している。

※ウスタッドは優れた音楽家に与えられる「匠」「マスター」の称号

 

5歳より父であり著名なサロード奏者であるウスタッド・アブドゥール・サミ・カーンより声楽を学び始める。しかし、父は顕著な成長を見せるモーシンを叔父であり著名な演奏家であるウスタッド・アミール・アーメッド・カーンに託す。ほどなく年少にして演奏活動を活発に行うようになる。

プラヤグ・サンギート・サミティ・アラバッド音楽大学卒業。

ターンセーン音楽祭(※3)、サマロゥ・ガワリオ音楽祭、ハリバラーブ音楽祭、ジャランダール音楽祭、サヒティア・カラ音楽祭、パリシャッド・デリー音楽祭など数多くの有名な音楽祭にメインボーカリストとして出演し、透明感と切れ味の鋭い卓越した演奏を絶賛されている。

 

 

その優れた才能は、さらに国内外に知れ、ウスタッド・アラウディン・カーン音楽祭(※4)、クンダン・ララ・ガンガニ音楽祭などインドでも最高峰に音楽祭に出演するまでになる。また、スペイン、フランス、ドイツ、スイス、アメリカ等々の国でも精力的に演奏活動をしている。またスペインのガウダルクィーバというバンドのメンバーでも活動している。

2011年、偉大な演奏家であったウスタッド・アブドゥール・カリム・カーンを称えたウスタッド・アブドゥール・カラム・カーン・アワードを受賞。また、ターンセーン音楽学校という自身の学校を運営し、国内外の多くの音楽家を育てている。

 

2015年6月 初来日公演。

 

(※1)キラナ流派とは、

インド声楽にとって最も多くの傑出した音楽家を輩出した流派で、13世紀、U.P州シャムリ地方のキラナの宮廷音楽家であったゴパール・ナヤックによって興される。流祖ゴパール・ナヤックはドュルパッドという厳格な音楽形式の歌手であったが、後に技巧的で華やかなカヤール形式もマスターする。

アブドゥール・カリム・カーン、アブドゥール・ワーヒッド・カーン、ビンセーン・ジョーシー等がこの流派の代表的な音楽家である。特にアブドゥール・カリム・カーンは、南インド古典など様々な音楽を吸収し、この流派が現代の音楽にも多大な影響を与えるほどの革命的な音楽の解釈や表現方法、形式などを作り上げた。

 

(※2)ウスタッド・アブドゥール・カリム・カーンとは、19世紀に活躍した音楽家、声楽家で、キラナ流派の音楽性を飛躍的に高めた一人。声楽家であるがサーランギ、シタール、ヴィーナといった弦楽器から打楽器であるタブラも演奏した。彼のインド音楽に与えた改革は、ゆっくりなテンポで多様にメロディを広げていく音楽形式の発案や、南インド音楽の技法を取り入れたサレガマパダニサという音名を使った歌唱方法、テュムリ(ラブソング)に複雑な心情を表現する技法などで、現在、全ての伝統音楽の流派から大衆音楽に至るまで、彼が発案した形式や技法は取り入れられている。

 

(※3)ターンセーンとは、ミャン・ターンセーンは16世紀に活躍した音楽家であり、現代の全ての流派がターンセーンに繋

がると言われるほどで、紀元前から繋がるインド音楽の中興の祖的存在の一人である。ペルシア(現イラン)や中央アジアの音楽から様々な要素をインド音楽に融合し、現在のインド音楽の礎を作った。

 

(※4)ウスタッド・アラウディン・カーンとは、20世紀に活躍した音楽家で、主に弦楽器であるサロード奏者であるが、多くのインドの楽器を演奏し、さらに西洋クラッシク・バイオリンまで学んだ。演奏家でありながら常にクリエーターであった彼は、彼の属するマイハール流派の形式をほとんど改革してしまった。特に楽器の演奏手法を大きく変革した。またインドには珍しかった弦楽オーケストラを作った。また教育者としても最もインド音楽を世界に伝えたラヴィシャン・カールなど、20世紀から現代に至る多くの演奏家を育てた。